第6章 Infighting
『万次郎』
「…伊織…」
『久しぶり』
「…」
『圭くんなら来ないよ。
ごめんね、私が頼んだの。』
「…」
『少し、話したくて』
「…」
万次郎は暗い顔のまま表情を動かさない
…あんまり眠れてないのか目の下にはうっすらとクマが見える
『…パーちゃんが自首した覚悟、頭では理解してるんでしょう?
でも、気持ちの方が追いつかない。
……違う?』
「…」
…目も合わせてくれない
けんちゃんとは違って少しも受け入れられてないんだ
…それにけんちゃんのように話を聞いてどうこうってレベルでもない
まだ彼には消化しきる時間が必要だ
…万次郎ならパーちゃんの覚悟は絶対わかってる
…正解は絶対わかってる
それなら、、、もう少し待ってみよう
『…まだ時間が必要みたいね。
ここ、タケミっちの家。
…今は絶対安静みたいだから、、、もし気が向いたらお見舞い行ってみて?
彼も心配してた。』
「…」
私は半ば無理やりメモを手に握らせて万次郎に背を向けた
…何故か昔から、万次郎だけは私に強く当たったりすることがない
いつもけんちゃんに全てをぶつける
…だから、きっと2人は直接話さないといつまで経ってもこのまんまなんだ
けんちゃんは昨日私に話してくれたけど、それで2人が面と向かって話せるようになっていたらいいな
私はそんなことを考えながら公園を後にし、ある場所へ足を進めた