第5章 Cause
「黙って見てろって…
マイキーくん酷くないスか!?
パーちんもう鼻も折れてるし意識も朦朧としてるし…もうダメッスよ!!
パーちん死んじゃいますよ!
止めましょうよ!!」
「…」
「っ!伊織さん!!!」
『…』
万次郎が何も言わないから、私の手を掴んでそう訴えるタケミっち
…ただの喧嘩だったら、もっと前に止めてた
でも、今回のは違う
それに何より…
「なんで?まだ諦めてねーじゃん」
万次郎はそう言って笑った
タケミっちはその表情を見て、絶望したように私から手を離す
万次郎にも、万次郎の隣に立つ私にも失望したんだろう
そしてその間にもパーちゃんは一方的に殴られ続けている
確かにタケミっちの言う通り、鼻骨は折れてるし脳震盪も起こしてる
おまけにもう目が飛んでる
…本当にそろそろ止めないと、精神的には死ななくても肉体が死んでしまう
ドガッ!
嗚呼、もうダメ
『…万次郎』
「わかった」
万次郎は私の声を聞くと、2人の方へ歩きだした
「んぁ?
オイ!コイツ立ったまま気絶してやがるぜ!!」
「ハハッすげー!」
そう言って笑うメビウスの奴ら
そして膝から崩れ落ちるようにパーちゃんが倒れる
ドサッ
「あ?」
万次郎はその体を支えると、パーちゃんは万次郎に何か呟いていた
「何言ってんの?パーちん
オマエ、負けてねえよ」
「はああ?何言っちゃってんのお前!!
どこをどう見たら負けてねえって!?」
「ふざけたこと言ってんじゃねえぞ!」
「全員全裸で土下座な!!ションベンちびんなよ!!」
「女はオレらが貰ってやるよ!
安心しろよ!お前らの分までちゃんと遊んでやるからよ!!」
そんな声なんかまるで聞こえていないかのように、パーちゃんを背負ってこちらに歩いてくる万次郎
「伊織、パーちん頼む」
『ええ』
そうして私にパーちゃんを預けると、万次郎は長内の前に進み出た