第5章 Cause
「ん?伊織さん?」
『あらタケミっち
偶然ね
この前のけんちゃんの付き人の話、面白かった〜
確かにタケミっちは付き人には向いてなさそうだもの』
「伊織さんあの時めちゃくちゃ笑ってましたもんね…」
『だって、速攻で断られてたし』
しかも断られることを考えてなかったんだろう
アザーっすって言ってたし
本当にあの時の顔は面白かった
「?伊織さんが1人なんて珍しいですね」
『そりゃ常に一緒にいる訳じゃないよ。』
「いや、確かにそれはそうなんですけど、、、
さっきマイキーくんとドラケンくん、あとパーちんくんとペーやんくんが廃工場入っていくの見えたから、てっきり一緒かと…」
『え?』
「面子的にメビウス関係かなって思ったんで、伊織さんここにいるのちょっとびっくりして…」
…おかしい
2人で出かけることくらい普通に今までだってあった
逆に私と万次郎だけの時も、けんちゃんと私だかの時だってあった
でも、今この状況でパーちゃんとペーくん含む4人ってことは100%東卍絡み、尚且つメビウス関係だ
廃工場で4人でお茶するわけでもないだろう
それなのに…何故私は呼ばれていない?
それどころかあの2人は私に隠そうとしてた
一体、どうして…
『…タケミっち、その工場ってどこ?』
「え?」
『今から行って少し話を聞いてくる
場所は?』
「あ…近いので一緒に行きますよ!
こっちです!!」
そう言うタケミっちの後ろを着いていく
でも、頭の中は疑問でいっぱい
全て私に伝えろとは言わない
けど、東卍のことは一言くらい相談して欲しかった
それも最古参メンバーであるパーちゃんの話
そしてそういうことのためにいるはずの私なのに、私に隠される道理はない
ねえ、万次郎、
…どうして?
何か、理由があるのよね?
私には言えない理由が
私は今まで感じたことのないような言いようのない不安を胸に、タケミっちの後ろを走った