第5章 Cause
『八戒くん
私は東卍の幹部であるけど、その前に柚葉の友達なの。
あの子が傷つけられているのを黙ってみているつもりはない。』
「…」
『だから、八戒くんには約束をいくつかしてもらうわ』
「…約束?」
『ええ。』
八戒くんが苦しいのは、柚葉のためになにもしてあげられてないから
柚葉に一方的に守られているだけだから
それなら、彼も柚葉のために何かさせればいい
『柚葉が傷付いている時、私に必ず連絡して。
そしてそのことは決して柚葉には言わないで。
もちろん、私と八戒くんが面識あるってことも内緒。…じゃないと、私が東卍関係者だってバレちゃうから』
「…っ、でも!」
『大丈夫。
私は絶対に傷つかないから。
それに、この役目は誰よりも柚葉の近くにいる八戒くんにしか頼めない。
…約束、守ってくれる?』
私がそう聞くと、八戒くんは慌てたように声を上げた
「っでも!伊織さんにそんなご迷惑…」
『迷惑じゃない。私がしたいから頼んでるの。』
「これは、東卍と全然関係ないのに…」
『だって私柚葉の友達だもん。』
「…でも、、、」
そこまで言うと、八戒くんは瞳に涙の膜を張った
私は彼の涙を見ないようにそっと顔を逸らし、前を向いた
『それと最後に、
怪我とかじゃなくても、本当に限界な時は絶対に連絡してきて。
…これ私の番号とアドレス。
約束違えたら本当に怒るから。』
私がそう言ってメモ用紙を渡すと、それを受け取った八戒くんは震えた声で言った
「伊織さん…ありがとうございます、
っ、本当に、」
『別に大したことじゃない
私の身勝手なんだから
…これまで通り、たかちゃんのサポートよろしくね?』
「はい!」
きっと、たかちゃんもこのことはある程度知っているだろう
その上で彼を隣に置いてるんだ
それなら、私から言うことは本来何にもない
私は公園から出ると背伸びをして真っ直ぐ家に帰った