第5章 Cause
『私が知ってることを先に話そうか』
「…すみません」
『いいの。
…まずは八戒くんと柚葉のお兄さんの大寿さんが黒龍の総長だってこと。
これはさっき言ったわね』
「…はい」
少しずつ柚葉と仲良くなって、初めてボロボロに傷ついた柚葉を見たときに問い詰めたんだ
そしたら彼女は泣きながら話してくれた
兄が黒龍の総長で、いつも暴力を振るってくること
それに対して弟は東卍に所属していること
それから、、、
『それと、柚葉が八戒くんのことを守ってるってこと』
「っ!!」
それだけは知られたくなかったんだろう
先程とは桁違いなほどガタガタと震えている
『八戒くん、大丈夫、大丈夫よ、、、
これらのこと、私からは誰にも言うつもりはないわ。
そして柚葉にも私が東卍の人間であることを言うつもりもない。
だから…あなたが東卍にいられなくなることもない』
「…でも、、どうして」
『柚葉が言うのよ。
誰にも言わないでって。八戒だけは私が守るからって。
本当にまずいと思った時はすぐ連絡するようには言ってあるけど、あの子は中々連絡を寄越さない。
だからたまに無理矢理押し行ったりしてるの。』
すると八戒くんは段々と落ち着いてきたのか、手元の水をゴクゴクと煽ると静かに言った。
「…幻滅、したでしょう。
こんな歳になってまで姉にずっと守られて、、、しかもオレはそれを黙ってる。
…こんな嘘ばっかなヤツ、なんでずっと幹部に置いておいたんですか。」
『だってたかちゃんが選んだんだもの。
それを私が覆す道理はないわ』
「でも、スパイかもしれないじゃないですか…」
『私はたかちゃんのことを信頼してる。
そんなたかちゃんが選んだ貴方を私は疑わない。』
「…」
八戒くんは黙って下を向いたまま動かなくなった
…このままじゃダメだってことは、この子が1番分かってる
でも、どうしようもできなくて苦しいんだ
それなら逃げ場を作ってあげないと