第5章 Cause
「伊織!伊織ってば!!」
『わっ!』
「何しに来たのか知らないけど、今ならまだ間に合うから!
早く戻って!!」
『…柚葉、ごめん。
ちょっと今日は無理かな』
「なんでよ!」
『私この先の病院にちょっと野暮用があって…』
…黒龍の人たちとは面識がない
そもそも東卍としてもあまり人前には立たないし、私が東卍であることを知るのは本当に一握りだ
だから別に鉢合わせてもなんとかなる
「っ!
あの病院って、、まさか…
伊織、悪いこと言わないから辞めときな
あそこには黒龍の息がかかってる」
『!どう言うこと?それ』
「…ウチの組がお金を持ってることは知ってるでしょう?
暴力を売りにしてる」
『うん』
軍隊のような組織をイチから作り上げた柴大寿
本人も相当強いバケモノらしいと記憶してる
「昔、その病院のお偉いさんから依頼を受けたことがあってね。
その弱みを握って、黒龍はよくその病院を色んな目的で出入りしてる。
多分、、そう遠くない未来、内部は完全に腐敗するはずよ」
『…なるほど』
確かにその通りだ
現代で見たその病院は完全に腐っていた
だからこそ目をつけたんだが、、、12年前からもうダメだったか…
でも、かと言って簡単に引き下がれる問題ではない
『そう…
でも、今はそれより柚葉の傷診ないとね。
その小指、ちょっと骨怪しいわよ?』
「っ!」
『さ、柚葉ん家、行くよ。』
「ダメだって!」
『今日お兄さん帰るの?』
「いや、、、その予定ではなかったけど…
でも!目をつけられたら…!」
『私なら大丈夫。
だって黒龍にとっては何にも価値のない一般人だもん。
柚葉の友達が家に遊びに行くだけよ。』
そうだった
柚葉はいつも無茶をする
だからこうしてたまに無理矢理にでもガス抜きしてあげないとダメなんだ
本当は、誰かに助けて欲しくてたまらないって心が悲鳴を上げているんだから