第5章 Cause
泣き顔を見られたくないから今はけんちゃんに会わないというエマを、ちょうどタケミっちを絞り終えたヒナちゃんのところに送り届けて私は万次郎達の所へ戻った。
けんちゃんはタケミっちに一言確認し、号令をかけた
「オラ!!集まれテメェら!
集会始めっぞ!!」
その一声でざわついていた境内が静まり返り、みんな左右に分かれて同じ角度で一礼する
「お疲れ様です!」
「「「お疲れ様です!!!」」」
そんな声を聞きながら、万次郎を筆頭にけんちゃんや私、以下各隊長達が中心を歩いていく
タケミっちはすごく恐縮しているかと思えば少しニヤついていたので膝で小突いた
バッ
風が万次郎の特攻服を攫う
中心に万次郎、左右に私とけんちゃんが立つと、彼らは下げていた頭を上げて整列する
嗚呼、空気が万次郎を中心に変わっていく
この瞬間の彼の横顔を見るのが、いつもどうしようもなく好きだった
「今回集まったのは愛美愛主の件だ
ウチとぶつかりゃデカい抗争になる
ぶつかるなら武蔵祭りのタイミングだ
じゃあ、、、」
万次郎はゆっくり階段に腰を下ろす
「みんなの意見を聞かせてくれ」
これも万次郎のいつものスタイル
立ったままでもいいのに、なるべく仲間を見下ろす体制でいたくないんだって
けんちゃんが総長の威厳を多少は持て、とか言って、階段を降りるのは許されてないらしいけど
と、後ろのタケミっちが分かりやすく頭にハテナを浮かべてる
けんちゃんがそれを見て思い出したかのように眉を少し動かした
『タケミっちには私が言おうか?』
「いや…三ツ谷、タケミっちに教えてやれ」
「ウッス
タケミっち、ちょっとこっち来い」
たかちゃんはタケミっちを連れて離れたところに行く
…?
そんなに離れなくてもいいのに
と、その後ろを追いかけてパーちゃんとペーくんが歩いて行ったのが見えた