第14章 【第十三訓】ベルトコンベアに挟まれた工場長の話
屯所へとたどり着き、○○は門を見上げた。
垂衣のためにぼんやりとしか見えないが、懐かしさを感じる。
近藤は? 土方は? 沖田は? 彼等はどうしているだろうと思いながら、○○は縁側を歩く。
「局長! 連れて来ました」
近藤は? 土方は? 沖田は? そこにいた。
万事屋一行改め拝み屋一行は座敷に通された。
この部屋から○○の人生は始まった。
門の前で拾われた○○はこの部屋に寝かされ、そして目を覚ました。
○○が感慨にふけっている間に、銀時が屯所に出没する捏造幽霊の存在を説明している。
「して、霊はいかようなものゴリか」
正面から聞こえた声。
みな同じ隊服なので垂衣越しでは区別がつきにくいが、体格からしてそれが沖田だと見当はついていた。
この中で一番警戒しなければならないのは、この沖田かもしれない。
近藤と土方よりも、余程、鋭い眼を持っている。
だが、沖田に気づかれても面白がって口外されないことも考えられる。
「えーと……工場長」
捏造霊の存在がどんどんと明確に、しかしグダグダに語られる。
総じて言うと、ベルトコンベアには気を付けろ、ということだ。
幽霊の説明が終わると、拝み屋一行は除霊へと突入する。
霊の器として名指しされた山崎は、神楽のボディブローによって気を失った。
二人羽織りの格好で山崎の体を操り、神楽は降霊させたふりをする。
あまりにグダグダな寸劇が見るに忍びなく、○○は立ち上がった。
「とりあえず、除霊しちゃいましょう」
○○は腰に挿していた大幣を手に取ると、左右に大きく振った。