• テキストサイズ

~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第14章 【第十三訓】ベルトコンベアに挟まれた工場長の話


「ちょっと待って!」

 小さいながらも鋭い声を上げると、○○は銀時の腕にしがみついた。

「警察はマズイでしょ。警察に詐欺はマズイでしょ」

 ○○の説得にも銀時は応じず、楽しそうな声音を浮かべる。

「いやいやァ、あの能なし警察なら、ちょろいもんだろ。いろいろデマ言ってビビらせてやらァ、ガッポリだぜ」

 銀時は親指と人差し指で丸を作る。
 金貨ガッポガッポ。むしろ、札束バッサバサ。

「ダメだってば、警察は!」

 必死に食い下がる○○を見て、銀時は首を捻った。
 いつもの○○なら、相手が警察だろうが、政治家だろうが、将軍だろうが賛同しているはずだ。
 ここまで止める理由がどこにあるのか。

「てめー、まさか」

 包帯の隙間から覗いた瞳が鋭さを見せる。

「こっちに来る前、真選組に厄介になってたのか? 何したんだ? 窃盗か? 殺人か? まさか、その年で援こ――ぐおっ……!」

 ○○は銀時の腹部に肘鉄を食らわせ黙らせた。

「何してるんですか」

 山崎は振り返って声をかけた。
 後ろをついて来ていると思っていた四人がまだ遥か後方にいた。

「早くして下さいよ。このままだと、真選組が壊滅しかねません」

 溜め息混じりに吐き出された山崎の言葉に、○○は耳を向けた。

(真選組が……壊滅?)

 一体、真選組で何が起きているのだろう。
 山崎は目の前にいる虫の垂衣を被った巫女姿の女性が○○だと気づく気配はない。
 太刀捌きさえ見せなければ、土方も気づかないだろう。
 真選組の現状を知りたいという思いが、○○を屯所へと向かわせる。
/ 502ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp