第3章 【第二訓】ジジイになってもあだ名で呼び合える友達の話
○○は聞こえた音を頼りに階を上がった。
十二階、十三階、十四階……十五階にたどり着き、
「いた!」
一つの部屋の前に集まっている隊士達を発見した。
ほぼ同時に、囲んでいた部屋のドアを蹴破り、三人の人物が飛び出して来た。
それは目的の人物、桂――ではない。
「止めるならこの爆弾止めてくれェ!!」
と叫びながら、そのうちの銀髪男は○○が立っている方へ走って来る。
他の二人と爆弾を押しつけ合いつつ、一目散に、脇目も振らずに。
だが、○○の横を通り過ぎるその一瞬、男の視線は○○に向いた。
驚いたように目は開かれ、
「 」
何かを呟いたように○○には見えた。
だが、手元に爆弾が戻ると、男は再び前だけを見て走り出した。
爆発寸前――
男は後ろを走っていた少女の傘で建物外へと弾き飛ばされ、空高く爆弾を放り投げた。
爆音を聞きながら立ち尽くしていた○○は、
「○○! テメェ、なんでこんな所にいやがる!」
怒声が聞こえて振り返った。
声の主は、真選組副長、土方十四郎。
「桂は!?」
その名を叫びながら、○○は土方に駆け寄った。
「桂だァ?」
「どこにいんの!? 捕まえたの!?」
土方は振り返り、先程まで囲んでいた部屋を見据える。