第3章 【第二訓】ジジイになってもあだ名で呼び合える友達の話
「あ!」
不意に山崎が声を漏らす。
階下へ目を向ければ、黒い集団が蠢いている。
「貸して!」
○○は望遠鏡を引っ手繰った。
見えたのは間違いなく真選組。
それも、幹部クラスの面々。
こうしてはいられない。
望遠鏡を山崎の胸に押し当てると、○○は踵を返して走り出した。
*
「トシィ! 総悟ォ! どこにいる!」
隣の建物へ駆け込むと、○○は声を張り上げて仲間の名を呼んだ。
「どこにいんの! みんな!」
勇んで乗り込んで来たものの、すでに皆の姿はなかった。
途方に暮れる。
「桂ァァァ!」
敵であるテロリストの名をも叫ぶ。
桂の逮捕に貢献する。そのために○○はやって来た。
そうすれば、自分も隊士の一人だと説得する材料になる。
名ばかり監察の立場を抜け出せるかもしれない。
屯所に居候させてもらうことになり、○○は隊士になることを望んだ。
本人が望むならばと、近藤は監察の立場を与えた。
だが、今でも反対している隊士もいる。隊士となるからには危険を孕む。
結局の所、任されているのは雑用のみだ。
「どこ――」
再び声を上げようとした時、破壊音が聞こえた。
「……総悟の、バズーカ?」