第13章 【第十二訓】ビーチの侍の話
「エ、エイリアン!?」
○○は波打ち際へと走ると、振り返って叫んだ。
「銀さァァん! 新八くーん! 出たー!」
「志村! 後ろォォ!」
○○と長谷川が大声で避難を促すも、二人はなかなか気づかない。
気づいたのは店主の叫び声を聞いた時。
木で組まれた十字架はエイリアンの口に噛まれている。
必死に逃げる銀時と新八。
「逃げるなァァァ! 退治しろォォォ!」
あくまで目的はエイリアン退治。
それを思い出した○○は、二人に対して声を張り上げる。
「ムチャ言うな! だったらテメェが自分でやれ!」
「だって私泳げないもーん」
○○が我関せずという顔で右手をひらつかせていると、隣から気合の入った声がした。
「ふんごおおおお!!」
さっきの大岩を再び神楽は持ち上げている。
エイリアンにぶつける気らしいが、その上に長谷川が腹ばいで横たわっていた。
○○はそれを見て、哀れと思い手を合わせる。
「ちょっ、合掌してないで、止めて!」
大岩は空を舞う。長谷川を乗せて。
長谷川の悲鳴が落下した場所はエイリアンではなく、銀時と新八の頭上だった。間違えた、と、神楽は呟く。
助けに行きたくとも、○○は泳げない。
出来ることはひとつしかない。
合掌。