第12章 【第十一訓】鎖国解禁二十周年祭りの話
河原に立ち、○○は両手の汚れを払った。
気絶した源外を縄で縛って自由を拘束したあとは、依頼はすんなりと遂行出来た。
カラクリどもを解体し、手分けして河原へと運ぶだけ。ここならいくら騒音を奏でようが構いはしない。
「今回の報酬、家賃一ヶ月分ということで、いかがでしょう」
依頼を終え、○○はお登勢と賃金交渉を行う。
「バカ言うんじゃないよ。せいぜい一日分だよ」
お登勢は煙を吐き出す。
「ええ! 一日分なんて、ないようなもんじゃないですか!」
○○は不平をタラタラと垂れる。
「それに、公衆の面前で音痴を晒した新八君への慰謝料として、もう一月分加わってもいいくらいなのに!」
「お前らが勝手に考えた作戦だろ! 大体、本人気持ちよさそうに歌ってたじゃねーか!」
○○とお登勢が言い合う横で、源外はがっくりと膝をついた。
「うるせーよ! どーすんだ! これじゃ祭りに間に合わねーよ!!」
「祭り?」
三日後に鎖国解禁二十周年を祝う祭りが開かれる。
江戸一番の発明家である源外に、その席でカラクリ芸をするようにと幕府から命が下ったという。
将軍様も参られる祭り。出来ませんでしたでは済まされない。
「あ、ヤベ。カレー煮込んでたの忘れてた」
「さァ、バイトだバイト! 稼ぐぞー!」
銀時以下、万事屋一同。逃げ足だけは実に速い。