第12章 【第十一訓】鎖国解禁二十周年祭りの話
「ギャアアア! 銀さん!!」
銀時はその大きな手に頭を鷲掴みにされ、宙吊りにされた。
「頭とれるって、平賀さん!」
○○の目の高さで、銀時の黒いブーツが揺れている。
「銀さんを離せ!」
○○は銀時の腿を掴み、思いきり体重をかけた。
「ぐお! 誰だ! 足掴んでんの!」
「今助けるよ、銀さん!」
「○○か! 助けるじゃねーよ! テメェ、離せ! 首が、呼吸が……!」
上から掴まれ、下から引かれ、銀時は首がもげそうな程の痛みを覚えている。
「本当、止めて! ○○ちゃん! 平賀さん!」
「たわけ。平賀は俺だ」
工場からスパナを持った爺さんが現れた。
カラクリではなく、こちらが本物の平賀源外らしい。
源外はお登勢と盛大に言い争う。
その間も、銀時は死の淵へと向かっている。
「とりあえず本当、○○ちゃんだけでも離して! ね、銀さんからの一生のお願い!」
「このままじゃ、ここで一生終わっちゃうかもしれないよ!」
○○は必死に銀時の足にぶら下がっている。
銀時を助けるための行為が裏目に出ていることに、気づく気配はない。
「いや、だから、本当に終わっちゃうから! ○○に終わらせられちゃうから!」
銀時の窮地を救ったのは、源外の一言だった。
「力ずくで追い出せ!」
「御意」
三郎という名のカラクリは、源外に向かって銀時を投げつけた。
「銀さーん!」
身の危険を察し、とっさに銀時の足を離した○○は、放り投げられた銀時へと駆け寄った。
そこには銀時と、銀時の頭突きを食らった源外が気を失って倒れている。