第12章 【第十一訓】鎖国解禁二十周年祭りの話
今日は朝から依頼が入った。
依頼主の名前はお登勢。この万事屋の大家である。
お登勢は今、ある騒音に悩まされているという。
正確にはかぶき町町内会一同の悩みだ。
「『源外庵』」
○○はオンボロ家屋を見上げて呟いた。
看板は右下がりに傾き、文字も長年の風雨に曝されたせいか滲んでいる。
その向こう側、家屋の中からは絶えずガシャコンガシャコンという機械音が聞こえて来る。
平賀源外の工場から鳴り響く騒音を止めてくれというのが、お登勢の依頼。
「オイ、ヤローども。やっちまいな!!」
悪党の親分の如きお登勢の一言で、万事屋一同は『源外庵』の前まで歩み寄った。
銀時はラジカセ、新八と神楽はアンプを一台ずつ、○○はマイクを持っている。
ラジカセとアンプの設置が終わると、○○はマイクを新八に渡した。緊張の面持ちで、○○は新八を見つめる。
噂は銀時と神楽に聞いているが、その真相は――
「お前ェ! それでも人間かァ!」
新八の歌声に、○○は急いで耳を塞ぐ。
「噂に違わぬ、音痴ぶりだ」
目には、目を。
歯には、歯を。
騒音には、騒音を。
騒音を奏でる平賀に同じように騒音を聞かせて苦痛を味わわせようという、銀時の作戦。