第11章 【第十訓】怪盗ふんどし仮面の話
だが、再び身を隠さねばならない出来事が起こった。
「汚ねェ手でお妙さんのパンツさわるんじゃねェ!!」
ふんどし仮面の足首に絡みつく男が見えた。
「い゛!?」
○○はとっさに上体を屈め、亀のように首を縮める。
それは間違いなく、真選組局長、近藤勲。
「どうして近藤さんがこんな所に?」
出るに出られなくなり、○○は隠れて様子を見守る。
木刀を構えて飛び出した銀時は地雷により倒れた。
倒れた銀時を踏み台にして、今度は妙がふんどし仮面に飛びかかる。
ふんどし仮面は妙の手で倒された。
だが、駆け寄った神楽と新八により、再び地雷が爆発。
恒道館の庭に、銀時、近藤、新八に神楽に妙、ふんどし仮面と六人が転がっている。
死屍累々の有様。
「あのォ。みなさーん、生きてます?」
○○が声をかけても無反応。
このまま暗闇の中、塀の上で時間を費やしたくはない。
中に入っても、近藤が目を覚ましたら厄介だ。
それより何より、地雷を踏んでドカンとなるのは御免被る。
「さよーならァァ」
塀から飛び降りると、○○は万事屋へとひた走った。
○○が銀時に声をかけた時、近藤は○○の声にも、その名前にも反応しなかった。
最初の爆音で地雷を踏んだのが近藤で、○○が声をかけた時には既に気を失っていたのだろう。
近藤がいる中で、○○の名前が出たかどうかはわからない。
誰も○○の名を口にしていないことを祈るばかりだ。