第11章 【第十訓】怪盗ふんどし仮面の話
「銀さァァァん! 大丈夫!?」
すると、すぐに返事が返って来た。
「○○か?」
「銀さん! 大丈夫? なんか爆発したけど。新八君と神楽ちゃんは?」
「ああ、みんな無事だ」
約一名、爆発に巻き込まれて倒れているが、銀時にとってその人物は部外者であるため、みんなには含まれない。
「裏口の鍵、開けてくれない? 門が閉まってたから、入れなくて」
「悪ィが、そいつァ出来ねー相談だ」
「何でよ!」
現在、庭には地雷が埋まっている。
埋めた銀時達がその場所を覚えておらず動けないとは、○○には思いもよらない。
「○○! 自力で塀よじ登って来るヨロシ! お前なら出来るヨー!」
「いや、帰った方がいいです! ○○さん、万事屋に帰って下さい!」
神楽の声、次いで新八の声。
「呼び出しておいて、どういうつもり!」
神楽も鍵を開ける気はないらしい。新八に至っては帰れという。
地雷の埋まった庭に立ち入らせないための言葉とは露とも知らず、新八に対して怒りを覚える。
ギャアギャア喚くも、相手は塀の向こうで姿が見えない。
一人で騒いでいる気分になり、○○は消沈する。
それは次第に不安に変わる。
空を見上げると、暗闇の中に星が瞬いている。
一人では、いたくない。
○○は手段を探す。
目に入ったのは腰の木刀。
塀を見上げる。垂直飛びでは届かないが、勢いをつければ――
道の反対側ギリギリまで下がる。
木刀を抜き、柄を下にする。
○○は走り出した。
「お前なら出来るヨー!」
神楽の言葉を掛け声に、○○は飛んだ。
木刀をポールの代わりにし、棒高跳びの要領で、飛んだ。