• テキストサイズ

~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第11章 【第十訓】怪盗ふんどし仮面の話


「ただいまー」

 夕刻、日が完全に落ち切る前に○○は仕事を終えて帰宅した。
 部屋からは何の物音もしない。
 銀時も神楽も出掛けているようだ。

 手提げを自室へ置き、冷蔵庫からいちご牛乳を取り出す。
 そのパックとコップを持ってリビングに入った時、テーブルに置かれている紙に気がついた。
 そこには神楽の字で、

 ――至急 恒道館に来られたし。

 と書かれていた。
 文の下には、同じく神楽作と思われる地図があった。

「恒道館?」

 恒道館道場。
 それは新八と、新八の姉である妙が営んでいる剣術道場。
 門下生もおらず、父が残した借金で首が回らないと、新八がこぼしていた。
 地図の下に、取ってつけたように書き殴られた文字を見つけた。

 ――木刀持参!

「剣術の修行でもやるのかなァ」

 ○○は首を捻る。
 窓から空を見上げる。夏の盛りとはいえ、もうじき日が沈む。
 なるべくならば表には出たくない。
 しかし、神楽の手紙を無視するのも忍びない。

「いざとなったら、新八君チに泊まらせてもらえばいいか」

 いちご牛乳を一杯飲んだあと、○○は木刀を手に部屋を出た。
/ 502ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp