第11章 【第十訓】怪盗ふんどし仮面の話
「いつの間にそんなもん……!」
ハイジャックにより占拠され、銀時達の宇宙船は無人の星に不時着した。
何やかやで坂本により折られた舵を、神楽は○○への土産として持ち帰っていた。
「ありがとう、神楽ちゃん!」
○○は満面の笑みで受け取ると、元物置部屋へと向かった。
その部屋は片付けられ、今は○○の部屋になっている。その部屋の押し入れは神楽の寝室だ。
舵を置いた手に手提げを持ち、○○は戻って来た。
「なんだ、出掛けんのか?」
「うん。これからアルバイト」
「あ? バイト?」
彼等が宇宙に行っている間に、○○は茶屋での仕事を見つけていた。
週二日、四時間からの勤務が可能なので、万事屋とのダブルワークも問題ない。
「あの子……えっと、ハム子ちゃんだっけ? 以来、依頼ないんだから。こんなんじゃ、また家賃滞納するだけでしょ」
言いながら、身支度を整えるために○○は洗面所へと向かった。
しばらくして戻って来ると、
「じゃあ、行ってきまーす」
と、手を振って出て行った。
その背を見送った銀時は顎をさすりながら呟いた。
「なかなか使えるじゃねーか」
今までより確実に稼ぎが増える気配がある。
○○が万事屋に居候していることは未だによしとは思っていないが、昔のことを聞き出そうとはしなくなったため、気苦労はなくなった。
「ムダに食費ばっかかかる奴より、よっぽど生産的だな」
銀時は頭の上で腕を組み、椅子に凭れた。
「誰のことアルかァァァ!」
だが、すぐに蹴りにより床に叩き落された。