第10章 【第九訓】どれぐらいヤバイかっていうとマジヤバイ話
「ホラ見ろ、何が起こるかわからねェ……」
銀時は作戦を変更し、二人を置き去りにした退散を命じた。
新八、神楽、○○は銀時を引っ張り上げる。
太助は銀時の左足に、公子は銀時の右足にしがみついた。
「重!」
○○は声を上げる。
腕にかかる負荷が突然増えた。二人とはいえ、彼等の体重は大人三人分には匹敵する。
銀時の体はみしみしと悲鳴を上げる。
「銀ちゃんから手を離すヨロシ!」
二人を退けようと、神楽はコンテナから飛び降りた。銀時の体にしがみつき、公子の頭を蹴る。
全体重が銀時の体に巻いた縄に集中。銀時の腹は崩壊寸前。
「新八君、あとはヨロシク!」
「ええっ、○○さんまで……!」
○○は縄から手を離し、コンテナから身を乗り出した。
持って来ていた木刀を突き出し、公子の脳天を攻撃する。
「いたたたた! オイ! こっちは依頼人だぞ!」
公子は怒りの声を上げるが、○○は無視して突き続ける。
「いたたたた! ハゲる! ピンポイントでつむじのど真ん中ばっかり突くな!!」
「ああ、ダメだァァ!!」
そうこうしているうちに、新八が一番に音を上げた。
四人の体重を新八一人で支えるのは無理があった。
四人は敵陣のど真ん中へと落下した。
「早く逃げて!!」
新八の叫びで、天人に囲まれていることに気づいた銀時達は、強行突破に切り替えた。
束になってかかって来る天人をものともせず、銀時と神楽は返り討ちにする。
「コレコレ!」
これぞまさに、○○の望んでいた大活劇。
「○○さん!」
○○はコンテナから飛び降りた。
屯所の道場だけが○○が剣を振れる場所だった。
隊士相手に立ち合うことは出来ても、本気の戦いはしたことがない。
敵陣の間を走り抜けながら、的確に急所を突き、天人を薙ぎ倒す。