第10章 【第九訓】どれぐらいヤバイかっていうとマジヤバイ話
○○は隣に座るガン黒の女性を見つめる。
テーブルを挟んだ前の席には、新八、銀時、神楽と並んでいる。
○○は依頼主の隣に座り、依頼内容を聞く格好になっている。
「私的にはァ~何も覚えてないんだけどォ」
電話同様の喋り。
ハムの人ことハム子こと公子は、以前、麻薬中毒になっていた所を銀時達に助けられたという。
まだ、○○が真選組にいた頃のこと。
今度はヤクの売人をやっていた彼氏を組織から抜けさせてほしいと、彼女は依頼して来た。
「相当危険の伴う仕事ですね。こちらの方はそれなりにお高くなりそうですが、よろしいですか」
○○は右手の親指と人差し指で輪っかを作り、公子に見せている。
「○○の奴、初仕事張り切ってんなァ」
「張り切ってるんですか、あれ。お金にがめついだけにしか見えませんけど」
「賃金交渉は○○に任せるとして、姉ちゃん、パフェおかわり」
銀時は手を上げ、ウエイトレスを呼びつけた。
「って、何杯食ってんですか!」
「あん? まだ四杯目だよ」
「アンタ、自分の血糖値わかってんのか! 医者に止められてるんでしょ!」
「タダで食える時は食っとかねーともったいねーだろ。大丈夫だってー。今日は依頼でいつもより動くから」
「運動だけでどうにかなるレベルじゃないだろ! アンタの血糖は!」
銀時と新八の言葉の応酬を聞きながら、○○は高速でそろばんを弾く。
「マジ太助助けてくれんならいくらでも払うしィ~、さっさとしてほしいんだけどォ~」
「しゃーねェ。んじゃ、そろそろ行くか」
早々と四杯目のパフェを平らげ、銀時は立ち上がった。
「待って! 私、まだ食べ終わってない!」
そろばんを弾く手を止め、スプーンを握ると○○はチョコレートパフェに食らいついた。