第10章 【第九訓】どれぐらいヤバイかっていうとマジヤバイ話
「いいか、しっかり掴んどけよ」
本日、○○にとっての『万事屋』初依頼が舞い込んだ。
「いいなァ、いいなァ」
依頼内容は、薬の売人をしている彼氏を組織から抜けさせてほしいというもの。
密売組織の悪人相手にバッタバッタの大活劇。
そんな仕事を想像したが、銀時が立てた作戦は地味なものだった。
「いいなァ、いいなァ」
現在、奪還計画を企てている。
コンテナ上に腰に縄を巻いた銀時。縄を掴む○○と新八と神楽。
傍には公子というガングロ女性の姿もある。
依頼人の彼女は、以前万事屋に助けられたことがあるという。
「お前、何してんの!」
○○は縄を緩めていた。
気づいた銀時は、○○の手からそれを奪って巻き直す。
「いいなァ、いいなァ、交代して」
裏方など面白くない。
活劇が演じられないなら、せめて最前線に立ちたい。
銀時が立てた作戦は、公子の彼氏・太助を攫って即座に逃げる。
「お前の細腕じゃ、あの体抱えらんねェだろ!」
太助の体型は控えめにもぽっちゃりと言うには無理がある。
それに、攫って逃げるだけとはいえ、敵の只中に放り込まれる。
予期せぬ事態が起きれば、たちまち危険を伴う。
そんな役目を○○にさせるわけにはいかない。
「一人だけ主役みたいで、ズルい!」
「だって、主人公だもんねー!」
窮地の太助を目の前に、○○と銀時は不毛な言い争いをする。
「ちょっと! 早く助けに行きなさいよ! 太助に何かあったら許さないからね!」
コンテナの下では、太助が今にも殺されようとしていた。
「うわァァァァァァァ!!」
太助の叫び声が耳を突く。
睨み合っていた銀時と○○は、叫びに呼応してコンテナの下へ目を向けた。