第9章 【第八訓】昔の武勇伝は三割増で話の話
「でも、何やってるんだろうっていうのは本当だよ」
○○はずっと家事をしている。
屯所にいた頃の習慣は消えない。
住む場所が変わっただけで、やっていることは同じ。
何のために居座ったのかと、ふと思った。
「僕は楽になりましたけどね」
万事屋の雑事は新八が担っていた。
人手が増え、助かっている。
職場の美化は仕事に含まれないが、性分なので片付けてしまう。
「そう言ってもらえると、ありがたいけど」
「本当、助かってますよ。ありがとうございます」
二人は微笑み合った。
「じゃなくて!」
「ひい!」
包丁を向けられ、新八は青ざめる。
「私は過去をしるために来たの! 家事しに来たんじゃない!」
「おおお落ち着いて下さい! 包丁置いて下さい!」
目の前で刃先が光る。
興奮した○○はその手を上下左右に振り回している。
万が一、すっぽ抜けでもしたら確実にメガネを貫通する。
「あの天パ野郎……余程過去にトラウマでもあるのかな」
過去のことに関しては、いくら定春に噛まれても爪を立てられても、銀時は口を割らない。
○○は顔を曇らせた。