第60章 【第五十九訓】チンピラ娘とかぶき町四天王の話
「お前、UNOはねーだろ、UNOは」
「えー、じゃあ花札? なんか賭ける?」
「ギャンブルはねーだろ、こんな時に」
「じゃあババ抜き」
「なんでカードゲーム限定なんだよ」
○○はトランプを切る。
華陀率いる辰羅の精鋭と戦った銀時は大ケガを負い、入院を余儀なくされた。
戦いで負傷した多くの人が運び込まれた大江戸病院は大繁盛。
○○は無傷だ。
お登勢、加えて黒駒勝男の出現で、西郷軍の面々も、次郎長一家の組員も息を吹き返した。
○○が孤軍奮闘することはなく、皆の力で華陀の軍勢を蹴散らした。
「もういいから、そろそろ帰れ」
銀時はシッシッと○○を追い払う仕草をする。
「暇してるだろと思って、せっかくいろいろ持って来たのに」
厄介者扱いに、頬を膨らませる。
「何言ってんだ。今、何時だと思ってんだ」
銀時は窓を指さした。
街は暮色に染まっている。
「え、もうそんな時間?」
入院中の銀時を連れて帰るわけにはいかないため、○○は日没前には家にたどり着かなければならない。
「また明日も来るね」
「明日はパフェの差し入れ持って来い」
「そんなん、外科から内科に移ることになるよ」
ヒラヒラと手を振り、○○は病室を後にした。