第60章 【第五十九訓】チンピラ娘とかぶき町四天王の話
西郷の宣言通り、次郎長と西郷の手勢は店を打ち壊しにやって来た。
先頭に立っていたのは、椿平子。次郎長への復讐のためにこの街へ来たと思っていた平子は、実は次郎長の娘だった。
今回の騒動は、彼女の企み。次郎長を天下一の大親分にするために、銀時を利用した。
しかし、その企みは万事屋と、万事屋と関わった仲間達によって、潰された。
平子と西郷を下した万事屋一行は、次郎長の元へ向かった。
だが、華陀が平子や西郷の首を狙っていることを知った銀時は、○○を戻らせた。
たどり着いた場所には、先程までいなかった、黒ずくめの男達がいた。
それは、華陀の刺客。
手負いの平子の元へ到着した華陀の援軍。
味方のはずの男達は、平子を亡き者にしようとした。
平子に協力している体を装い、お登勢を潰させ、次郎長、西郷の勢力を削いだところを三勢力とも一気に潰す。
それが、かぶき町四天王の一人・華陀の思惑だった。
「長谷川さーん! 生きてますかー!?」
○○は知己のグラサンの名を叫んだ。
華陀の軍勢、さらにはその場にいる全員の視線を○○は浴びる。
「なんで俺!?」
「あ、生きてましたか」
段ボールに身を包んだおっさんは、五体満足で立っていた。
「長谷川さんが生きてるなら、全員無事ですね」
火消しの辰巳、鍛冶屋の鉄子、ホストの狂死郎……
援軍として駆けつけてくれた誰よりも、一番殺されそうな人。
日常的に死がチラついているマダオが無事なら、きっとまだ誰も殺られていないだろう。
生存確認の、点呼。
「ここから先は、私がお相手致します」
○○は黒ずくめの男達に刀を向けた。