第60章 【第五十九訓】チンピラ娘とかぶき町四天王の話
「テメェ、よくもまたやってくれたな」
銀時は頬を引きつらせる。
戦いに加わらないよう、銀時は○○を眠らせた。
にもかかわらず、第一線へと参じている。
「なんで毎回ボディブローなんだよ」
紅蜘蛛党に乗り込んだ際も、○○は腹に強烈な打撃を食らって落とされた。
「他にやり方ってもんがあんだろ」
その剣幕には、一緒に出て行くと言っていた、しおらしい顔はどこにもない。
「○○さんは逃がしたって、やっぱり嘘だったんですね」
場所は『スナックお登勢』。
新八と神楽、キャサリンとたまの姿もそこにあった。
銀時は一人で戦うつもりだと、彼等も勘づいていた。
合流した新八は、銀時と共に○○がいないことに疑問を持った。
問われた銀時は、一人で街を出るように説得したと嘘を吐いた。
説得などされるはずがない。○○の想いは、自分達と同じはずだから。
「なんでこんなすぐ気づいてんだよ」
銀時は息を吐く。
○○は、数日は眠っているはずだった。
気づいた時には、騒動は全て収束しているはずだった。
「お登勢さんが起こしてくれた」
実際には、黒駒勝男。
銀時はお登勢と○○のことを勝男に頼んで街へと戻った。
「あのババア、いつから狸寝入りしてやがったんだ」
病室を出る直前、意識を回復したお登勢は銀時に言葉をかけた。
だが、随分前から、銀時と○○の会話から、聞いていたのだろう。
○○の想いを汲み取って、○○を銀時の元へと向かわせた。
日が昇ると同時に、○○は街へと走り出した。