第60章 【第五十九訓】チンピラ娘とかぶき町四天王の話
○○、新八、神楽は追っ手を撒いて『スナックお登勢』に戻った。
そして、町内会の会議から戻ったお登勢にその話を聞いた。
“四天王配下の者が私闘を起こした場合は、他の三勢力をもって潰される”と決められた、と。
朝を迎えても、銀時は戻っていなかった。
「お互い話し合いで手ェ引いたらしいよ」
銀時が暴れていたら、他の勢力から狙われる羽目になるところだった。
衝突寸前で決議を知り、無事に戻れると銀時から電話があったという。
新八と神楽は安堵している。
「昨日からずっとメシ食べてないだろう」
○○同様、新八と神楽も、夜通し銀時を捜していた。
どこかに食べに行こうというお登勢の提案に、新八と神楽は笑顔を見せる。
○○の頭はまだ靄がかかったような状態だった。
「アンタは顔洗ってきな」
お登勢に言われるまま、洗面所へと向かった。
冷水を顔に浴びる。目の霞みは晴れても、頭はすっきりしない。
顔を拭い、鏡を見ると、背後にお登勢が映り込んだ。
「体は何ともないのかぃ」
「……私、自分で帰って来たんですか」
お登勢はかぶりを振る。
「うちの常連客が運んで来たんだよ」
○○の顔を知る『スナックお登勢』の常連客が、気を失った○○を連れて来た。
街の外れで倒れていたという。
見たところ、外傷はない。一見すると眠っているだけのようだった。
「覚えてないのかぃ」
「銀さんを捜していたことは、覚えてます」
昨夜、月は照っていなかった。
とはいえ、銀時のいない状況下で夜の街へと踏み出すことに不安はあった。
だが、じっとしてはいられなかった。
新八と神楽と○○と、三手に分かれて捜しに出た。
そして、記憶が途絶えている。
「疲れて、外で寝ちゃったんですかね」
そんなことはあるはずがないが。
あり得ない○○の推測に、お登勢は何も言わなかった。