第59章 【第五十八訓】自称・雨女とか言うけど天気操る能力持ってない話
「いいか、お前はゲストだからな。黙って見てろよ」
結野アナへの妨害は、お隣に住む陰陽師『巳厘野衆』によるものだった。
当主の巳厘野道満は、結野アナの元旦那。
両者は長い年月に渡り権力を争っていたが、晴明は平和協定を申し込んだ。
協定を結ぶ条件として、結野アナは道満へ嫁いだ。
にも拘わらず、晴明は結野アナを離縁させた。
次第に笑顔を失くしていく妹の様子を見ていられなくなったため。
「手出しはするなよ」
道満は晴明に果たし状を送りつけた。
術者三人による、式神を使ってのデスマッチ。
晴明は一人で乗り込んだが、放っておけるはずがない。
万事屋一行も、彼の後を追った。
「黙って見ていられるまでは、黙って見てるよ」
勝負は三対三のデスマッチ。
あぶれた○○は傍観者の立場に甘んじる。
結野側の術者の内三名は、陰陽師でも何でもない、銀時と神楽だ。
銀時には外道丸という結野アナに託された式神がいるが、神楽の式神に至ってはただの新八。
四人を巻き込まんと一人乗り込んだ晴明は声を上げるが、銀時は取り合わない。
「いずれは結野衆に婿入りする運命」
我がお家のピンチと、銀時はのたまう。
「お義兄たま」
「お前のたま、潰してやろーか?」
背後から、○○は銀時の股の下に片足を突っ込む。
「だーから、ゲストが口挟むなって言ってんだろ」
「戦いと無関係のことには口挟むわ」
戦いではない。○○を大人しくさせていたいのは、こういうことに違いない。