第59章 【第五十八訓】自称・雨女とか言うけど天気操る能力持ってない話
万事屋一行は、結野アナの天気予報を妨害していると思われる陰陽師の屋敷へと乗り込んだ。
そこは、結野アナの身内である『結野衆』の屋敷。
由緒正しい陰陽師の力を、幕府のためではなく天気予報や占いに使っている。
それを疎ましく思い、妨害をしている。銀時はそう考えた。
彼等を疑っていた銀時は今、その一族に溶け込んで天に手を向け祈祷をしている。
結野アナの天気予報を当てさせるために。
○○は、○○と新八と神楽は、呆れ顔を浮かべている。
「アイツに陰陽師の力、ないっての」
○○は口をへの字に結ぶ。
普段見ることのない必死の形相で、銀時は天に念を送っている。
結野アナのために。一心不乱に。
「……あの人、あんな顔だっけ」
銀時の手前には、銀時以上に全力で天気を晴れにしようとしている男がいる。
形相が変わる程に一生懸命。それは結野アナの兄、結野晴明。
結野衆が結野アナの邪魔をしているという考えは、まったくもって見当違いだったようだ。
「あれはっ」
隣の屋敷から立ち上る光に、新八は声を上げた。
その光は結野から放たれる光と激突し、天空でしのぎを削っている。
「ぎ、銀さん!!」
やがて、跳ね返された結野の光は、銀時や晴明の上に落ち、皆地面へと倒れ込んだ。
空は再び色を失い、江戸の街は雨に降り込められる。