第59章 【第五十八訓】自称・雨女とか言うけど天気操る能力持ってない話
「思った通りだった」
○○の出現に、銀時は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。
アルバイトを早退した○○は万事屋へと向かった。
その途中で、彼等と遭遇した。
「私がいない時に行動すると思った」
昨日、大工達が撤収した後に銀時は帰って来た。
銀時は、結野アナの天気予報を妨害している陰陽師の情報を得るために行動していた。
「それで、どうだったの?」
「あン? さァな。相手は陰陽師だ。簡単に尻尾は掴めねーよ」
明日も調査だと、銀時は言っていた。
だが、三人はまさに今からその陰陽師の元へと向かうところだった。
「本当は昨日の時点で目星は付いてたんでしょ」
銀時を見上げるが、その目は前を向き、○○には見向きもしない。
昨日も、同じように感じた。話していても、どうにも視線が合っていない。
今回の仕事の対象は結野アナだ。
以前、犬の社交場で結野アナと遭遇した際、「俺と一発……」と口走った銀時の股間を○○は思い切り蹴り飛ばした。
この件に○○を関わらせると、己の身に何かしら危険が迫る、○○によって、と思い、○○の知らぬ所で解決しようとしていた。
その目算が外れた。
「あれ? 陽が出て来た」
○○は傘を閉じた。
降水確率はゼロパーセントでも、今日は傘を持って出た。天気予報は意味がない。
昨日は夕方まで雨が続いていたが、今日は思いの外、早く止んだ。
「大丈夫かな、お店」
「じゃァ、さっさと戻れ。バイトに戻れ」
「戻りません」
○○はムッとして答える。
店長には悪いけれど、一度店を後にしたからには、戻るつもりはない。
万事屋の仕事が優先だ。