第58章 【第五十七訓】野良猫への無責任な餌やリはやめましょう
「依頼ほっぽって、どこ行ってやがんだあのヤロー」
翌日になっても、銀時は戻って来なかった。
○○は新八、神楽と三人でホウイチ捜しに出ている。
「○○さん、言葉遣いも人相も別人のようです」
眉間に皺を寄せた三白眼で、今にも舌打ちしそうな表情を浮かべている。
「一人でホウイチを捜してるんじゃないですか?」
「昨日まで四人で捜してたのに、なんで急に一人で行動するの? 一人で捜したいなら、言うだろうし」
大体、夜通し捜すとは思えない。
夜には戻って来るはずだ。
「別の女の所に行くのに○○に言うわけがないネ」
「神楽ちゃん、火に油を注ぐようなこと言わないで」
神楽は涼しい顔で傘をクルクルと回している。
銀時と○○がくっ付こうが離れようが、神楽の知った所ではない。
「銀さんが依頼を放り出して遊んでいるわけないですよ」
まして、女の所などあり得ない、と新八は○○を宥める。
シラフじゃないなら信用できないけれど、とは口には出さない。
「恋人の前で他の女とパフパフするような奴のどこを信用しろって言うの?」
紅蜘蛛党を追っていた時のことを思い出す。あれは確かに事故だった。
月詠とToLOVEるになることも、○○とトラブルになることも銀時は望んでいなかった。
だがそれは純然たる事実として目に焼き付いている。
「事実はアイツを捕獲すればわかるよ。まずはあの店を捜してみる?」
○○は手近なスナックを示した。
「あの、銀さんじゃなくて、ホウイチの捕獲が依頼です」