第58章 【第五十七訓】野良猫への無責任な餌やリはやめましょう
「銀時? いや戻ってないけど」
お登勢は煙草をふかしている。
町内会からの依頼の合間に、○○、新八、神楽は『スナックお登勢』に寄っていた。
休憩、それから、銀時が戻っていないかの確認を兼ねて。
「どこいっちゃったんだろ」
依頼内容は『ホウイチ』というかぶき町のボス猫を捕らえること。
この数日、万事屋総出でこの猫を追っていた。
その最中、銀時が忽然と姿を消してしまった。
「○○が相手してくれないから、他のメス猫の所に行ったネ」
そう言う神楽の頬には真新しい引っ掻き傷がついている。
ようやくホウイチを見つけ捕らえにかかったが、かわされ爪を立てられた。
「銀さんが相手してくれないんだけどね」
喧嘩をしているわけではないが、寺門通公式ファンクラブ決定戦の一件以降、銀時は一人で拗ねている。
「欲求不満だからあんな話してたアル」
「あんな話って?」
○○は別の場所からホウイチを見張っていたため聞いていないが、銀時は長々と猫の交尾について語っていたという。
「欲求不満ならいいけどね」
もしも知らないどこぞのメスを欲求のハケ口にしているのなら、許すまじ。
「猫達と同じように去勢してやる」
この手でと、○○は手をニギニギする。
「去勢?」
「お登勢さんも去勢した方がいいと思いませんか」
「アイツの下半身も切除が必要だけどね、今は猫の話さね」
増えすぎた野良猫を去勢してまた街へと戻す。現在、町内会ではその活動に尽力していた。
町内会で手に負えないホウイチだけは捕まえてほしいと、万事屋に依頼があった。