第8章 【第七訓】原作第十九訓と第二十訓の間の話
「けえったぞー」
帰宅した銀時の耳に笑い声が届いた。
神楽の声、新八の声、
「何だァてめーら、何がそんなに楽し」
「お帰りなさい、銀さん」
それから、○○の声。
「何してんだ、てめーはァァァ!」
○○の顔を見るや否や、銀時は大声を上げた。大仰に眉をひそめる。
怒声に動じず、○○はそのまま銀時を見つめていた。
正確には、銀時の背後。
「てめ、新八! 二度とこいつを入れるなっつっただろーが!」
新八の胸倉を掴み、銀時は揺する。
銀時に合わせ、後ろの物体が移動する。
○○の視線も移動する。
「そんな言い分、きくわけないじゃないでしょ! せっかく訪ねてくださったのに!」
手を払い除けながら、新八は反論する。
「来てくださったじゃねーよ! 何度来りゃ気が済むんだ! 俺ァこいつのことなんてしらねー! しっててもしらねー!」
銀時は天然パーマの髪を捏ね繰り回す。
「世の中の全ての人に迷惑かけてるんですから、一人くらいの役に立とうと思えないんですか!」
「俺の頭ん中は糖分とジャンプで一杯なの! 余計なもの覚えとくスペースないの! あ、あと結野アナ」
「余計なものしか覚えてねーだろうが!」
今度は逆に、新八が銀時の胸倉を掴み上げる。
「誰が余計なもんだ! 人妻だろうと、結野アナは俺の女神だ! この世で唯一のビーナスだ!」
「何言ってんだ! お通ちゃんがビーナスだ!」
渦中の○○はそっちのけで、二人は睨み合う。
当の○○は黙っている。
お帰りと言い、銀時を見上げたまま、瞬きもせずに見つめている。
ハァハァ言っている、銀時の後ろの大きなものに見惚れている。
銀時が右に動けば、それも右に。銀時が左に動けば、それも左に。
○○の視線も右に左に。