第8章 【第七訓】原作第十九訓と第二十訓の間の話
留守の自宅に侵入している見知らぬ女。
盗人か居直り強盗か――
その姿を目撃した神楽は、○○に名乗る隙も与えず、
――何者アルか!
と、襲いかかった。
○○は慌ててテレビのリモコンで応戦した。
テーブルを盾替わりにし、どうにか攻撃を防ぐ。
防ぎながら自身の素性を明かすと、神楽は攻撃を止めた。
話を聞いて、ようやく目の前の女の正体がわかった。
銀時が女を連れ込んだことは覚えていても、顔は覚えていなかった。
神楽が寝室として使っている押し入れのある部屋に木刀があることを聞いた○○は、それを使って神楽とチャンバラごっこを始めた。
その戦いは、銀時が帰って来てその顔面に木刀が飛んで行くまで、長らく続けられた。
「○○、離すアル。頭に血が上って気持ち悪い」
髪と腕を床に向けて垂れさせていた神楽は、下目遣いに○○を見た。
○○は腰を低くし、ゆっくりとその体を下ろした。
「やっぱり、木刀用意しておいてよかった。神楽ちゃんのことだから、またいきなりかかって来るかなと思ったんだ」
○○は木刀を握ったまま、再びソファに座った。
「○○さん、貴女一体、何者ですか……」
宇宙でも最強と謳われる戦闘種族・夜兎族。神楽はその生き残りだ。
その神楽に対し、この記憶喪失の女は充分に渡り合っていた。