第8章 【第七訓】原作第十九訓と第二十訓の間の話
木刀が部屋に馴染み始めた頃、玄関が開く音がした。
帰って来たのは銀時ではなかった。
「ただいまアルヨー」
もう一人の住人、神楽。
酢昆布の大量に入った袋を提げ、神楽は悠々と部屋に姿を現した。
「あ、○○ネ!」
そこに○○の姿を見つけ、神楽は笑顔を見せた。
だが、言い終わるや否や目を吊り上げた。
同時に○○は木刀を握る。
「ほァたァァァ!」
神楽は袋を新八に放り投げると、○○に向かって蹴りかかった。
○○は表情を変えずに神楽の足を木刀で受け止め、剣を振った。
反動を利用し、回転しながら神楽は背後に飛び降りたが、即座にまた飛びかかる。
蹴りの威力を殺すため、○○は後ろに下がりながら神楽の足を受けた。
勢いのなくなった両足を膝のあたりで抱え込む。神楽は逆さまの状態で宙吊りにされた。
神楽は上半身をブランコのように反動させ、○○の頭に頭突きを、
「ちょっと! 何やってんの、アンタら!」
かまそうとした所で、新八の声に止められた。
「わけがわかんないんですけど! いつ神楽ちゃんと○○さんの間に確執が生まれてたんですか!」
「神楽ちゃんとは、この間ここで会って友達になったんだよ」
「顔を合わせて一秒で殴り合いする友達がどこにいるんですか!」
「ここ」
この間、万事屋で銀時を待っていた時に、○○は帰宅した神楽と鉢合わせをした。