第56章 【第五十五訓】吉原炎上篇は諦めて回想にした話
吉原に向かった○○は、運よく三人と合流出来た。
銀時、新八、神楽だということはわかるけれど、三人とも異様な風体だ。
「銀さん? 新八君? 神楽ちゃん? 何事?」
銀時、新八ではなく、彼等――いや、彼女達はパー子とパチ恵。
神楽も普段のお団子頭にチャイナ服ではなく、和装をしている。
三人ともマスクで顔を隠し、両手に大きな玉を持っていた。
「○○」
自分の姿を認めた銀時がいやーな表情を浮かべたことを、○○は見逃さなかった。
やはり、○○を吉原に来させたくなかったようだ。
「晴太君は?」
置いてけぼりにされたことへの恨みつらみは吐きたいが、それよりも晴太がいないことが気になった。
晴太はもう母親と、日輪と会うことが出来たのだろうか。
彼等は四人だったが、もう一人は晴太ではなかった。
煙管を銜えた、スタイル抜群の女性。
額と左目の下にとても目立つ傷があるが、それでもとても美しい女性だ。
「この人は月詠さんと言って……」
吉原自警団『百華』の頭。
吉原の秩序を守り、吉原の掟を破るものを処断する、最強の番人。
「どういうこと?」
そんな人と、行動を共にしている理由がわからない。
それに、手に持つ玉は、恐らく火薬玉か何かだ。
「それが……」
新八から聞かされた話に、○○は驚倒した。