第55章 【第五十四訓】会っても互いを知ることは難しい話
「何、座ってんだ、こんな所で」
見下ろしてくる銀時を○○は睨み上げる。
「置いてくなんて、ヒドイ」
――向こうの屋上で○○さんが待ってますよ。
新八に言われ、銀時は○○を迎えにやって来た。
屋上にうららの姉の姿を見つけ、六人はパトカーから飛び下りた。
デパートへ駆け出そうとしたが、○○はすぐに足を止めた。新八の姿を見つけたからだ。
銀時を呼び止めたが、新八は任せたと○○に告げ、走り去ってしまった。
「銀さん、ちょっ、待っ……!」
仕方なく、○○は新八の元へと駆けた。
新八はデパートの入り口へと向かっていた。そこには真選組隊士が立っていて、立入禁止にされていた。
○○の知らない隊士達。融通を利かせてもらうことは出来ない。
新八はデパートへの侵入は諦め、隣の建物の屋上へと上がった。
それからすぐに、うららの姉が屋上から飛び降りた。
方々から悲鳴が上がったが、銀時が助けて事なきを得た。
新八は屋上から彼女に向けてメッセージを送る。
うららの姉――きららが本当の文通相手であることに新八は気づいていた。
そんな様子を、○○は屋上の扉の内側から眺めていた。
○○は屋上に出ることが出来なかった。
なぜならば、今夜は満月だ。