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~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第55章 【第五十四訓】会っても互いを知ることは難しい話


「あの手紙を書いたの、お姉さんだったんだ」

 新八と文通をしていたのは姉――
 ○○達はパトカーの中で真実を打ち明けられた。
 写真は姉が勝手に同封したという。
 こちらと同じで、相手によく思われたいと同じ手を使っていた。

「だからかァ」

 姉のことを見ていなければ書けない文面。
 書いたのが本人ならば、それは詳しいはずだ。
 走り去った女性こそがうららの姉だった。

「きっとお姉ちゃん、新八さんのこと……」

 運転しているのはうらら、助手席には沖田が座っている。
 後部座席に○○、土方、銀時、近藤。
 沖田に命令されたうららは、移動手段としてパトカーを強奪した。
 新八は彼女が本当の文通相手とは知らないまま、追いかけて行った。

「ちょっと、トシ、こんな近くでタバコ吸わないでよ。臭いが染みつく」

 ○○は土方の手からタバコをもぎ取る。

「おめーらが勝手に乗り込んで来たんだろーが。自分の車でタバコ吸おうが何しようが、俺の自由だ」
「自由って、アンタ仕事中でしょ」
「仕事になってねーよ。おめーらのせいでな」
「狭いんだから、こっち向かないで! 近い!!」

 ○○が土方の体を突き飛ばすと、彼の後頭部が銀時のこめかみを直撃した。

「いってーな! 殺んのか、テメェ!!」
「てめーが降りりゃなんの問題もねェ!!」
「テメェが降りろや! 大体、なんでテメェが隣に座ってやがんだ!!」

 ギャアギャアと土方と銀時は声を上げる。
 パトカーを分捕った○○と銀時は、並んで後部座席に座った。
 狭い車内。土方と近藤に挟まれて着座していた、○○と銀時は密着していた。
 後から乗り込んできた土方は、無理やり○○と銀時の間に割って入った。

「それに、パトカーが定員オーバーなんてシャレにならないじゃない。降りてよ、トシ」
「だから、俺等の車だ!」
「いてて、暴れるな、お前ら!!」

 三人のド突き合いに近藤は巻き込まれる。
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