第53章 【第五十二訓】マイナスドライバーもあまり見ない話 其ノ三
『ゲオかぶき町支店』に近藤、沖田、土方、○○の四人は急行する。
そこにゲーマー星人が現れるという情報を近藤は掴んでいた。
誰も彼もが釈然としない気持ちを抱いたまま、ドライバーとなった自身を受け入れたはずだった。
近藤はプラスドライバーとして生きて行くことを決意し、螺旋星の第三王女プラス姫との縁談を進めていた。
だが、近藤は見合いを断った。ドライバーの我が身を受け入れて生きて行くことなど出来なかった。
「うまくいきゃ、玉の輿だったのによォ」
そう言う土方の表情は楽し気だ。
「それでよかったんだよ。近藤さんにはお妙さんがいるんだし」
「○○もそう思うか。俺にはお妙さんしかいないよな!」
「うん、お妙さんしかいないよ」
たとえ永遠の片想いでも――という言葉を○○は省く。
「何をちんたらやっている! そんなスピードでは奴等に逃げられるぞ!!」
空から聞こえた声に、○○は顔を上げる。
見上げると、屋根の上を桂が並走していた。
「ヅラ!?」
「桂!!」
○○の横を走っていた土方がギラつかせた双眸で桂を睨む。
「ナメた真似しやがって! 次は脱獄なんざさせやしねェ!!」
「戯けたことをぬかすな、土方! 今は互いにドライバーの身。警察も攘夷志士も関係がない、ただの同種同族だ!」
桂はスピードを上げ、宇宙船へと突っ走る。
「俺を捕まえたくば、体を取り戻してからにしろ!!」