第53章 【第五十二訓】マイナスドライバーもあまり見ない話 其ノ三
今後、どうするか。
彼等が相談を続けていると、一人のプラスドライバーが現れた。
「どうも、フルーツポンチ侍Gで~す」
コードネーム、フルーツポンチ侍G。
桂小太郎。
○○は絶句する。
真選組と桂と、再び相まみえる場に同席してしまう事態が出来しようとは。
桂のバカさ加減を読み誤った。
まさかオフ会にノコノコと現れるとは思わなかった。
フルーツチンポ侍Gの正体が近藤であることは承知しているはずなのに。
○○の姿を見つけると、桂は口を開けた。今にも名前を呼ばれそうだ。
食い止めようと、○○は慌てて立ち上がる。だが、○○が出張らずとも彼は口を閉ざした。
黙った桂の視線は自らの手首に注がれた。
「シャバ最後のメシだ」
手錠をかけられ、桂は土方と沖田の間に座らされた。
「まさかオフ会が罠だったとは……!!」
勝手に罠を作り、勝手にハマる桂を見て、○○は冷ややかな視線を送る。
一旦は窮地を脱したとはいえ、桂の口から○○の名が出るのは時間の問題。
既に姿を見られてしまっているため、もはや隠れることは不可能。
言い逃れる方法を思案している○○だったが、
「○○殿! 俺は○○殿がドライバーでも一向に構わん!!」
早くも桂は○○の名を呼んだ。
(まだ考えがまとまってねーんだよ!!)
と、殺意を覚える○○だったが、近藤も土方も沖田も、桂の口から○○の名が出ても何の反応も示さなかった。
万事屋と桂は頻繁に関わりを持っている。万事屋にいるうちに桂とも顔なじみになったのだろうと、近藤も土方も沖田も思っていた。
「テメェもドライバーだろうが」
「プラスの俺とマイナスの○○殿ならば、上手くやっていけるはずだ!!」
土方は桂に足蹴を食らわせる。