第52章 【第五十一訓】マイナスドライバーもあまり見ない話 其ノ二
〈このモンハンの世界に奇妙なハンターが増えてきていてな〉
○○達は“M”に先導されフィールドを奥へと進む。
彼が言うには、ゲーマー星人を捜しに来るプレイヤーが○○達の他にも大勢この世界に来ているという。
桂もその一人だった。彼もまた、体をドライバーへと改造されていた。
同じく近藤もドライバーと化しているが、彼の場合は別件である。
〈探し物はここで見つかるはずだ〉
とある神殿の前で“M”は立ち止まる。
この神殿の奥には全てのモンキーの頂点に立つ神獣・セイテンタイセイが生息している。
ゲーマー星人は奴を狩りに必ずここへやって来ると言う。
〈共に行こう。俺達の楽園を取り戻しに〉
“M”は振り返って告げる。
「Мぅぅぅぅ!!」
時を同じくして○○の耳に新八の声が届いた。
「新八君、盛り上がってるなァ」
新八がプレイする席はそんなに近くないはずだが、それでも声が届くということはそれ程の声量で叫んでいるということだ。
「まァ、気持ちはわかるけどね」
我々を導くこの“M”という男。
世界の全てを知り尽くし、世界の全てを狩り尽くした者。
新八でなくても、興奮してしまうだろう。
〈いいのか? こんな面倒事に巻きこんじまって〉
銀時の問いに彼は答える。
彼もまた、自分の体を取り戻そうとしていた。
「“M”も改造された人なのかァ……本当に被害者多いんだな」
○○は茶を啜る。
“M”は語る。気づいた時には、全身無職に改造されていた、と。
〈長谷川という覇気も何もないグラサンに改造されていたんだよ〉
○○は茶を吐き出しそうになるのを堪える。
「長谷川さんんんん!!?」
伝説のハンター“M”の正体は長谷川泰三だった。
「近藤さんにヅラにさっちゃんに、加えて長谷川さん? 何なの、このパーティ」
現実世界でもネット世界でも、類は友を呼ぶ。