第51章 【第五十訓】マイナスドライバーもあまり見ない話 其ノ一
「か、神楽ちゃん!?」
路地から突然聞こえた○○の声に、神楽と新八、銀時は一斉に目を向けた。
○○は路地から飛び出した。
「なんで神楽ちゃんもマイナスドライバーに!? しかも全身!?」
神楽は巨大なマイナスドライバーになっていた。
ペタリペタリと、○○はドライバーとなった神楽の体を撫でまわす。
「テメー、何そんなとこに隠れてやがんだ。そんなもんまで被りやがって、俺から身を隠してるつもりか?」
銀時は苦々しげな表情を○○に向けるが、○○の目はそちらには向かない。
○○は神楽に釘付けとなり、銀時のことなど考えている余裕はない。
神楽と○○の状況は同じ。全身と髪の毛という差こそあるが、そんなものは些末なものだ。
「ちょっと、どうなってんの、神楽ちゃんのコレ、治るの、コレ」
○○は頭を振り、銀時と新八に交互に目を向ける。
その拍子に、○○の頭を隠していたマフラーがひらりと地面へと落下した。
銀時と新八は顔を歪めた。
晒された○○の頭髪は神楽と同じくマイナスドライバー。
「○○さん……○○さんもドライバーにされたんですね……」
頬を引きつらせながら、新八は一本のプラスドライバーを○○の前に差し出した。
それは、新八の右手人差し指だった。