第50章 【第四十九訓】盗撮した亀を捕まえて竜宮城に行ってみた 其ノ三
ユラユラと揺れるボートの上に座り、新八は空を見上げる。
「とんだ夏休みになっちゃいましたね」
○○は新八の横で同じように空に目を向けている。
「ご馳走にもありつけなかったしね」
竜宮城でおもてなしを受けるはずが、受けたのは白い煙と亀の襲撃。
「銀さん、帰りの電車賃ないよ。どうすんの」
○○は隣に座る銀時に視線を向けた。
銀時は海に沈んでいく瓦礫を見ていた。
ワクチン発射の衝撃により竜宮城は崩壊。
かつては銀河狭しと惑星間を飛行していた高級妓楼は、海の藻屑と化し、その姿を消さんとしていた。
「あ? 依頼料が入るだろ。何のためにこんなとこまで来たと思ってんだ」
「何言ってんの。そんなもの入るわけないじゃない」
万事屋一行は沿岸警備の仕事を受けて海へとやって来たが、竜宮城へと向かうために仕事を放り出して来た。
依頼主は怒っているだろう。依頼料など期待出来るわけがない。
「冗談じゃねーぞ。老いぼれババアのリハビリに付き合うために来たんじゃねーんだからな」
老化ウイルスを使ってジジババのみの世界に変えようとしていた乙姫は改心した。
一時は浦島と共に海の底に眠ることを選んだ乙姫だったが、銀時の言葉で生きながらえることを決心。
瓦礫に埋もれている所を銀時や○○達、それから乙姫親衛隊に助け出され、今は親衛隊の元で我が城が沈んでいく様を見ていることだろう。