第50章 【第四十九訓】盗撮した亀を捕まえて竜宮城に行ってみた 其ノ三
「もうよい! どけェェェ!!」
乙姫は老兵達を蹴散らす。
老人となった兵士達は当てにならない。
自らの手でワクチン発射を食い止めようと、階段を駆け上がる。
だが、その体が突然バタンと倒れた。
「長谷川さん!? 亀梨さん!?」
老人と化した二人が乙姫の着物の裾を掴み、彼女を阻んでいた。
さらには老人と化した神楽と九兵衛が乙姫を食い止める。
彼等に感化され、銀時、桂、○○は膝の痛みをもろともせずに階段を駆け上がる。
「銀さん、ヅラ!! アンタらそれでも侍かァァァ!!」
「○○!!」
「○○殿!!」
「気合見せて走って来なさいな!!」
二人の前に立ち、○○は先頭を走る。
「○○殿! 子どもの頃はいつもわしの後ろに隠れておったのに、強くなったのう!」
桂はゼイゼイと言いながら○○の背中を見つめる。
「じゃが、そんなことは関係ない。これからもわしが○○殿を護るんじゃあああ!!」
桂は○○を追い越し、先頭に立った。
負けじと、銀時の目が光る。
「ヅラ、いつお前が○○を護ってたってんだ。○○を護っておったのはわしじゃあああ!!」
○○の背を追い越し、銀時は桂と並走して階段をよぼよぼと爆走する。
「○○殿を護っておったのはわしじゃ! のう、○○殿!!」
「何を言うておるか! わしじゃ! のう、○○!!」
走りながら、二人は○○を振り返る。
「昔語りは大概になさいな、ジジイども! 子どもの頃なんて覚えてないわァァ!!」
「全員大概にしろ、ジジババども!!」
一刻の猶予もない状況で不毛な言い合いを行う年寄り達に、新八はブチ切れる。