第50章 【第四十九訓】盗撮した亀を捕まえて竜宮城に行ってみた 其ノ三
背中に○○、肩にワクチンを担ぎ、新八は走る。
追うのは一足先に乙姫を食い止めに向かった銀時と桂。
「新八君! いた!」
○○は前方を指さす。
そこには高速よぼよぼで走る二人の背中。
「銀さーん!! 桂さーん!!」
新八が担いでいる筒を見て、それは何かと銀時が問う。
それは、ある人物から託された老化ウイルスを無効化するワクチン。
これを発射させれば、老人だらけにされた江戸を元に戻すことが出来る。
「急ぎましょう!!」
乙姫を食い止めるまでの時間はあと五分。
それまでに、砲門へとたどり着かなければならない。
「なんじゃこりゃああ!」
しかし、目の前には長い長い階段が待ち構えていた。
怯んでいる暇はない。五分で登り切らなければ、世界中がジイさんバアさんだらけの世界になってしまう。
食い止めるには、やるしかない。
「あそこだァァァァ!!」
○○は背後を振り返る。
階下に老人と化した兵士達と、着飾った老婆の姿が見えた。
それは恐らく竜宮城の主、乙姫だろう。
彼女は兵士達に四人を追うように命じる。
「行って、新八君!!」
「○○さん!!」
○○は新八の背中から飛び降りた。
「銀サンもヅラも、ジジイになっても自分の足で走ってるのに、負けてなんかいられない!!」
「おっそ!!」
うららあああ! と掛け声だけは威勢がいいが一歩一歩が震えている。
銀時と桂も階段には勝てないようで、ゼイゼイハアハアと息をつき、膝はガクブルと震えている。