第49章 【第四十八訓】盗撮した亀を捕まえて竜宮城に行ってみた 其ノ二
新八達を襲っていた亀は、亀梨の仲間だった。
亀梨は竜宮城の主である乙姫の親衛隊隊長だったが、主を裏切って追われていた。
○○や銀時、桂を老人にしたあの箱は、亀梨が持ち出した玉手箱Gと呼ばれる老化を促す煙のサンプル。
今、江戸の街は玉手箱Gによって老人のみの街に変えられてしまっている。
「いずれ……僕達も」
新八は危惧する。このままでは自分達も老人にされてしまう。
亀梨は乙姫を倒すための勇士と見込み、万事屋一行を竜宮城へと連れて来た。
その亀梨は別の場所へと連れて行かれ、八人は牢屋へと押し込まれている。
「ふぅ。落ちちゅくのう」
両手で湯呑を抱え、○○はゆっくりと茶を口に含む。
「……○○さん、どこで手に入れたんですか、そのお茶」
どこにも台所などないし、湯呑を調達した場所もわからない。
「はっけよーい。のこった、のこった」
新八は○○の頭越しに見えるテレビから聞こえて来る音声に耳を傾ける。
奥では、銀時と桂が相撲中継を観戦している。
「○○殿の淹れる茶は天下一品の美味じゃ。まろやかで味わい深いのう」
「お前もどこから湯呑取り出してんだよ」
テレビ画面に目を向けたまま、桂は茶を啜っている。
「銀ちゃん、何食べてるアルか」
もごもごと口を動かしている銀時に対し、何かを食べていると勘違いした神楽は私にも寄越せと食ってかかる。
やかましいわと桂は声を上げる。
ツッコミを入れる銀時に、さらにツッコミを入れる新八。
「全く。銀サンもヅラも、ジジイになっても成長しないんだから」
○○は微笑を浮かべて彼等を見つめる。
「○○さん! 記憶、戻ってるんですか!?」
新八は○○に目を向ける。
竜宮城に来て記憶を失ってから、○○が誰かの名前を口にするのは初めてだ。
「○○さん、僕もわかりますか」
新八は○○の前に顔を突き出した。
「って、寝てるしよォ!」
膝に湯呑を乗せ、○○はスヤスヤと寝息を立てていた。