第48章 【第四十七訓】盗撮した亀を捕まえて竜宮城に行ってみた 其ノ一
輪を作って密談をしていた中から、長髪男が○○のいる方へと走って来た。
大岩に隠れてやり過ごすつもりだったが、何を察知したのか、長髪男は○○の方へと目を向けた。
男は方向を転換させると、○○に向かい両手を広げて飛びかかって来た。
○○は男の右頬に拳をめり込ませ、危機を回避する。
「○○さん! よかった。無事だったんですね!」
次いで、海パン一枚の少年が駆け寄って来た。
その後ろから、長髪男の仲間と思しき連中がゾロゾロとやって来る。
彼等は正常な人間に見えるが、長髪男は確実に異常者だ。
あの男とつるんでいる以上、油断は出来ない。
「来るなァァ!!」
○○は叫んだ。
新八は足を止める。新八の後ろから近づいていた一行も、一定の距離を取って歩みを止めた。
「近寄ったら……近寄ったら、なんかするぞ!!」
○○は拳を握る。
「あの……○○さん?」
頬を引きつらせ、海パンの少年が○○に手を伸ばす。
○○はその言葉の意味に気づいた。
長髪男も「○○殿!!」と叫びながら飛びかかって来たではないか。
『○○』とは人の名前ではないか。
彼等がその名を口にする時、視線の先にいたのは自分だ。
○○は銀髪の男が着ているものに気がついた。
その法被には『沿岸警備隊』と記されている。
○○が着ているものと全く同じものだ。
「アナタ達は……私の知り合い?」
え? という言葉が全員の顔に浮かぶ。