第48章 【第四十七訓】盗撮した亀を捕まえて竜宮城に行ってみた 其ノ一
「神楽ちゃあああん!」
テントから離れて程なく、背後から聞こえた新八の声に○○は振り返った。
見えたのは、砂浜を駆けて行く新八。
新八の向かう先、波打ち際には人だかりが出来ていた。
銀時も人だかりへと向かっている。
「ウソつけヨ! 女の子のあとばっかつけ回してたくせに!!」
○○が近づくと、人を非難する神楽の声が聞こえた。
彼女はある人物に指を差していた。
「……亀?」
そこには甲羅を背負ったおじさんがいた。
亀おじさんはビデオカメラを手にしている。
どうやら盗撮疑惑がかけられているようだ。
ビデオの中身をチェックする銀時。
○○も横に並んで映像を見た。
そこに映っていたのは水着の女性達。
「いやホントマジですいませんって」
盗撮亀を警備隊本部へ連行した銀時達は、彼を詰問する。
「おたく、常習ですよね」
○○は盗撮亀が持っていたビデオカメラをチェックする。
頭まで巻き戻して確認すると、盗撮映像は今日の日付が始めではなかった。
数日に渡り水着の女性の胸や下半身が大写しで映っている。
「もうホントやらないんで」
「謝罪も慣れてますよね。今までもそうやってかわして来たんじゃないですか」
「ホントに出来心なんです。初犯なんですって」
名前は? 住所は? という質問に亀は答えない。
「あっ、銀さん。所持品に免許あります」
亀の持ち物を漁っていた新八は個人情報を発見した。
それは船舶免許だった。記載された住所は、竜宮城。
「竜宮城に住んでんの!?」
新八と銀時は声を上げる。
昔話の竜宮城といえば、豪華絢爛な宮殿で美しい姫に歓迎され、鯛や鮃といったご馳走で持て成される夢の場所。