第7章 【第六訓】人生ってオッさんになってからの方が長い話
一人になった○○は、懐から一葉の写真を取り出した。
○○と思われる少女と、○○によく似た女性が写っている。
小さな茶屋の前で、二人は微笑んでいた。
裏側には『○○ 七歳』と記されている。
家族はいない。
あの男はハッキリとは言わなかったが、亡くなっているのだろう。
天涯孤独の身。
ただ、腑に落ちたこともあった。
○○らしき人物に対する捜索願が出されていないことだ。
定期的に近藤は捜索願を確認してくれていた。
長らく娘と連絡が取れず、放っておく親がいるだろうか。
自分は誰にも捜されていなかった。
身の上を知った○○は、半ば呆然とこの部屋を去った。
屯所に戻ると、出迎えたのは伽藍洞。
真っ黒いテレビ画面に映る自分の顔。
誰もいない空間に、誰だかわからない自分が一人。
貴女は、誰――
戸が開く音で○○の意識は引き戻された。
あの男が帰って来たのだろうか。
ガラス戸に目を向けると、映ったのはあの男にしては小さい影。
「……何者アルか!」
入って来たのは、チャイナ服の少女だった。