第46章 【第四十五訓】真選組動乱篇 其ノ二
「近藤さんを、暗殺?」
パトカーの後部座席に座り、○○は新八から話を聞いている。
屯所を出て程なくした所で、○○はパトカーに拾われた。
運転していたのは銀時。
○○が山崎を捜しに別行動を取った後、彼等は真選組のパトカーを分捕っていた。
屯所の裏で爆発音を起こしたのは銀時達の乗るパトカーだった。
無線を使い、彼等は真選組内部で起こっている出来事を知った。
伊東という隊士が反乱を起こし、攘夷浪士の犯行に見せかけて近藤・土方を亡きものとして真選組を乗っ取ろうとしている。
○○はその隊士のことは知らない。
既に近藤は伊東派の隊士に包囲され、危険な状況だという。
「近藤さん……」
山崎だけでなく、近藤までも殺されてしまったら……
○○は腕に力を込める。
「○○さん、それって……」
新八は○○の腕に抱えられた真っ黒な布に目を向ける。
「山崎の隊服」
――山崎の弔い合戦。
○○は山崎の隊服を持って出た。
持って来たのは山崎のものだけではない。
○○は土方に目を向けた。
山崎の部屋を出た後、○○は土方の部屋にも立ち入った。
山崎の部屋以上に整理整頓と管理がなされた部屋。
塵一つ落ちていない清潔な部屋。
ただ、○○が屯所にいた頃にはなかったものも置かれていた。
アニメのDVD、美少女のフィギュア。
――俺達の真選組を護ってくれ。
鉄子は言っていた。
土方の刀が本物の『村麻紗』ならば、もう本来の土方が戻って来ることはないかもしれない。
オタクと化し、戦闘意欲がなくなってしまった土方。
○○は土方の隊服も手に取った。
山崎だけではなく、土方の弔い合戦にもなり得る。